11時間後の3秒

更新日:2020年2月29日

台風15号とんでもない被害をもたらしました。私も27歳の頃千葉市に居住していましたので、他人事とは思えない心情です。被災地の皆様の一日も早い復興をお祈り申し上げます。  同日、同じ台風の引き風のなか、私は海沿いのラブホテル付近で張り込みをしていた。長期の調査で動きは確認できず、半ば諦めかけたこの日動きがあった。全く知らない他人の行動。いったい何時間後に出てくるのか、での時間のガイドになる明日の動きすらつかめない中の張り込み。車両2台人員3名で取り掛かったのだが、2時間経っても3時間経っても一向に出てくる気配は無い。やがて日が昇り時は朝の10時を回った頃、仕掛た定点カメラのバッテリーもSDカードも、残り時間のカウントダウンが始まって、切れたらもう替えは無い。手持ちで構えたSONY α7M3だけが頼りな状態だった。  とその時、予想した出口の対面、通常出口には使用しない入り口側に人の気配。その距離40m。気配といっても40m離れて尚且張り込み位置から目視できない入り口。自動ドアの開閉音すら聞こえない。でも確かに感じた人の気配。瞬間レンズを向け直し、フォーカシング。400mm超望遠レンズのフレームに飛び込んだ人影は、確認できるのだが流石に遠い!すかさずAPS-Cクロップに切り替え再フォーカス。秒間10コマの無音連写でみごと対象者と同行する女の姿を捉えることに成功した。ホテルから出てカメラのフレームから外れるまでの時間は、僅か3秒足らずだった。  その後、他位置の張り込み組が、車両の乗り込み、同位置からの移動を撮影した。現場の集音器や定点カメラ類の撤収を彼らに任せ、私達は対象車両の尾行を開始、約18キロ離れた町で、女性の自宅と推測する位置で女が降り、その住宅へ入る状況を確認することが出来た。ここまで押さえたら後の動きはある程度推測ができる。残すはこの二人の継続性の立証。と女の素性調査だ。大きな山を一つ越えた。  ひとつ気になることがある。今回もだが、依頼者の推測と予想は大きくハズレた。そもそも依頼者が知っていると思い込んでいる対象者の動向は、この女と密会するために普段から嘘に嘘を重ねて作られた動向なのである。そう言う理由から、経験上私は「依頼者情報」を、ある程度必要なことしか信用しない。  仕事といえばそれまでなのだけれど「撮れて当たり前」その当たり前にはこうした日々の研究と忍耐。そして現場の空気を読むちから。その上に成り立っている。私が「現場第一主義」を掲げるいちばんの要因である。


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